産業財産権Q&A

Q70

意匠法が改正されたと聞きましたが、その内容はどのようなものなのでしょうか。

A

 今年の4月1日に意匠法が改正されましたが、最も注目すべき改正内容は保護対象の拡充である。

 

(1)画像のデザインが保護対象に加えられた。

 意匠は物品(有体物である動産)のデザインとして意匠法によって保護されてきた経緯がある。例えば、鞄のデザインである。意匠法上の意匠は鞄という物品と一体不可分の関係にあり、物品を離れては存在しないとされてきた。画像についても改正前においてはこの考え方を踏襲し、物品(機器)に固定された画像のみを保護対象としてきた。例えば、電子複写機の操作画面の画像である。すなわち、操作画像は電子複写機という物品に固定されていることを前提としていた。
 しかしながら、例えば、ユーザーがインターネットを介してクラウド上にある画像(例えば、商品購入用画像)をスマートフォンなどに映し出して使用することが、言わば常識化している。そして、この種の画像はビジネスに直結するものであり、企業はその創作には多額の投資をして力を注いでいるのが現状である。
 そこで、物品に備わっていない画像についても意匠登録の対象として保護を図ることとした。

(2)建築物、内装デザインについても保護対象に加えられた。

①前述のように意匠法上の意匠は物品と一体不可分の関係にあることから、不動産である建築物は保護対象とされていなかった。
しかしながら、企業は店舗等の建築物の外観のデザインを個性的なものとすることで、ビジネスの武器としているのが現状である。
そこで、建築物を意匠登録の対象に加えることとした。

②内装のデザインも保護対象に加えた。内装デザインも建築物と同様にビジネスに大きな影響を及ぼすものである。
しかしながら、内装デザインは家具、壁、照明等、複数の物品によって構成されているため、従来においては一意匠一出願(一つの物品について一つの意匠権)の原則に反するとして意匠登録が認められなかった。 
そこで、複数の物品で構成される内装デザインを意匠登録の対象に加えた。

(3)その他の改正として関連意匠制度の拡充、存続期間の延長等がある。

詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota-info/document/panhu/isho_kaisei_jp.pdf

(令和2年4月)