産業財産権Q&A

Q19

商標登録出願が特許庁の審査にパスするためには、どのような要件を満たすことが必要なのでしょうか?

A

(1)普通名称、記述的商標などでないこと。
 商標は自己の商品(役務)と他人の商品(役務)とを区別するための標識であることから、このような区別に役立たない普通名称等は登録が拒絶されることになっている。
 例えば、商品「鉛筆」について商標「鉛筆」は普通名称なので拒絶されることになる。普通名称であるか否かは指定した商品(役務)との関係で判断され、指定役務が「航空機による輸送」である場合、「空輸」は普通名称とされる。
 また商品の産地、品質、原材料、効能、数量等を示す記述的商標も拒絶されることになる。「スーパー」、「1ダース」、「静岡」等は記述的商標に該当する。
 その他、商品「清酒」についての「正宗」のような慣用商標、「伊藤」のようなありふれた氏、単なる「○」のような極めて簡単でありふれた商標等は、拒絶されることになる。

(2)他人の登録商標と抵触する関係にないこと。
 抵触する関係とは、すでに登録されている商標と①商標同一・商品同一、②商標類似・商品同一、③商標類似・商品類似の3つの関係をいう。
 商標の類似には、「ソニー」と「ソミー」のように呼び名が似ている「称呼類似」、「王様」と「キング」のように意味が似ている(同じ)「観念類似」、下図に示すマークのように見た目が似ている「外観類似」がある。
 商品の類似とは、「クッキー」と「チョコレート」のように同種の商品となる関係のことである。
 商標権を取得できれば、商標権者は指定商品(指定役務)について登録商標を独占的に使用でき、類似範囲において他人が勝手に使用するのを排除することができる。
参考文献 商標 第3版(網野 誠 著 株式会社有斐閣発行)

 

 

商標 外観類似