産業財産権Q&A
どのような発明であれば特許庁の審査にパスできるのですか?
特許庁の審査にパスするためには、新規性、進歩性、先願であること、が必要である。
(1)新規性
発明が客観的に新しいことをいい、
① 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
② 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施された発明
③ 特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明
であるときは新規性がないとされている。
①の公然知られた発明とは、不特定人(発明者のために秘密を守る義務の無い人)に知られることをいう。従って、例えば、会社にたまたま来たセールスマンに発明の内容を説明すれば、その発明は公然知られたことになる。
②の公然実施された発明とは、例えば、発明が包装装置で、その包装装置を展示会で運転した場合は公然実施されたことになる。
③の頒布された刊行物に記載された発明とは、例えば、新聞や雑誌に発明品が掲載された場合である。
(2)進歩性
その道の専門家(当業者)が特許出願時における技術水準から容易に考え出すことができない程度をいう。
例えば、ラジオとカセットテーププレーヤが別々に存在していたと仮定し、両方が一緒に存在するほうが便利だと考え、両方を接着剤でくっつけたというだけでは進歩性が無いとされると思われる。
これに対し、ラジオとカセットテーププレーヤとを一体にして、ラジオで受信した音声をカセットに録音できる機能を付加した場合は、進歩性があるとされそうである。
(3)先願
同じ内容の特許出願については特許庁に早く出した者勝ちであり、早く出した出願が特許される。これを先願主義という。
先に出した出願を先願、後から出した出願を後願といい、先願であるか後願であるかは特許出願同士だけでなく、実用新案登録出願との間においても判断される。