産業財産権Q&A

Q43

最近、オリンピックが話題になっています。2020年には東京でオリンピックが開催されることが決定し、最近ではロシアのソチで行われた冬季オリンピックで多くの日本人選手が活躍しました。ところで、「オリンピック」や「OLYMPIC」は商標登録されているのでしょうか?

A

 「オリンピック」や「OLYMPIC」は国際オリンピック委員会(IOC)や日本オリンピック委員会(JOC)によって商標登録されている。IOCやJOC以外の者が「オリンピック」「OLYMPIC」を商標登録出願した場合は商標法第4条第1項第6号の規定によって拒絶されることになっている。この規定は「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」は商標登録を認めないとするものである。この規定に該当する商標としては「オリンピック」のほか、 IOC、JOC、ボーイスカウト、 JETRO等があげられる。これらの商標を一私人に独占させることは権威尊重、国際信義の上から好ましくないので、商標登録を認めないこととした。
 一方、この規定は、出願人が公益に関する団体などである場合は適用されないことになっているので、IOCやJOCは「オリンピック」や「OLYMPIC」に関する商標登録を受けているのである。このほか、IOC、JOCは五輪の図形についても商標登録を行っており、JOCは「がんばれ!ニッポン!」について商標登録している。
 なお、「オリンピック」「OLYMPIC」ズバリでなくても、オリンピックを利用しようとする商標については、公序良俗に反するとされたり(商標法4条1項7号)、出所の混同を生じる可能性があるとされたり(同4条1項15号)、品質誤認を生じるおそれがあるとされたりして(同4条1項16号)、拒絶される可能性があるので注意が必要である。
 ところで、東京オリンピック招致のためのプレゼンテーションの中で話題になった「おもてなし」であるが、これは、第7類「化学機械器具、風水力機械器具等」 第30類「菓子、パン」 第33類「日本酒、洋酒等」 第37類「建設工事等」などについて、一般企業によって商標登録されている。「おもてなし」は自他商品(役務)識別標識として機能する、言わば普通の商標だからだ。