産業財産権Q&A

Q68

当社は水産加工品製造業を営んでおり、商品に社名と鰹をモチーフとしたマークを付しています。当社と取引のある小売業者から商標登録した方がいいと言われたのですが、何を対象にすればいいのでしょうか。

A

 社名、鰹をモチーフとしたマークのいずれも商標登録の対象になり得る可能性がある。

 商標は文字(例えばSONY、ユニクロ)、図形(例えばクロネコヤマトの黒猫のマーク)、記号(例えば三菱のマーク)、更にこれらが結合したもの(例えばセブンイレブンのマーク)があり、いずれも商標登録の対象になり得る。

 ただし、普通名称やその商品の内容を記述的に表すものは商標登録出願しても審査にパスせず拒絶されることになる。例えば、水産加工品に「鰹角煮」はその商品の普通名称であるとして拒絶されることになり、鰹をリアルに描いた絵も原材料を示すものとして拒絶される可能性が高い。商標は自社商品と他社商品を識別するための標識なので、消費者が商品を識別する標識とならないものは商標登録が認められない。

 消費者が商品を識別することが可能な商標であっても、他人の登録商標と同一・類似するものは商標登録出願しても拒絶されることになる。

 従って、社名と鰹をモチーフとしたマークが商標登録できそうなものであるかについて調査を行い、その結果を踏まえて商標登録出願すべきかを決めることが必要だ。調査結果が他人の登録商標と同一・類似するというものである場合は、商標の変更を検討すべきである。他人の商標権侵害となるおそれがあるからだ。消費者に自社製品を広く知ってもらい売り上げを増やしていくためには、ブランド戦略が必要であり、商標はその核となるものであることを認識することが重要である。

(令和2年2月)