産業財産権Q&A
Q31
自社商品である酒の名称について日本においては商標権を取得し、日本国内で販売してきましたが、この商品を輸出することになりました。日本で商標権を取得していれば、その効力は輸出国においても及ぶのでしょうか?
A
商標権は原則として各国ごとに取得し、その効力も各国ごとに及ぶ。従って、日本で商標権を取得しても、その効力は外国には及ばない。輸出国において自社の商標(ブランド)を守りたいということであれば、その国において商標権を取得する必要がある。
外国で商標権を取得する場合、原則として各国(中国、アメリカ等)の特許庁が審査を行う。これらの特許庁における審査は各国ごとに定められた商標法に基づいて行われる。
商標登録出願を行う場合は、商標(マーク)と、この商標を使用する商品・役務を指定する必要がある。例えば、商標については日本語で表したものにするか、 その国の言語で表したものにするか等を検討する必要がある。日本語の文字で外国へ商標登録出願した場合、文字商標ではなく、図形商標として取り扱われてし まい、十分な法的保護を受けられないおそれもあるので、注意が必要だ。
また、商品・役務については多くの国で商品・役務をカテゴリーごとに分けた区分表を採用するが、この区分表は各国ごとに異なり、また出願対象にしようとする商品・役務がどの区分に属するかの判断基準も異なり、更に商品・役務の表現方法も異なるので注意が必要だ。
また、各国ごとに商標登録を認める条件が異なる。例えば、アメリカやカナダにおいては、原則としてその国において商標を実際に使用していることが登録の条件になる。
更に、商標権を継続して維持するためには、その国において登録商標を指定商品に使用していることの証明(使用証明)を特許庁に提出しなくてはならない国もある。例えば、アメリカ、フィリピンがこれに当たる。