産業財産権Q&A
Q1
日本で特許出願をしたのですが、この出願と同じ内容のものを外国出願をするときに注意することはありますか?
A
日本の出願から1年以内に外国へ出願すべきである。この期間内であればパリ条約に規定された「優先権」を主張して外国へ出願することができる。
「優先権」とは、外国出願について日本出願の日に出願したものと同様の効果を与えるパリ条約上の特別の権利をいう。優先権は日本の出願 日から12ヶ月(意匠、商標は6ヶ月)以内に外国出願した場合に認められ、この優先権を認めてもらえる期間を優先期間という。優先期間を過ぎてしまうと優 先権を主張することができず、外国出願をした現実の出願日を基準に審査が行われることになる。従って、権利取得上、不利になるので、日本の出願から1年以 内に外国へ出願すべきである。
パリ条約は産業財産に関する国際条約で、約160の国が加盟している。このパリ条約には、「優先権」の他、「内国民待遇」、「特許独立の原則」が規定されている。
「内国民待遇」とは、内国民(その国の国民)と同盟国の国民(外国人)とを特許の取得等に関し同一に扱わなければならいことをいう。従って、外国人の出願にだけ厳しい基準で審査することは許されない。
「特許独立の原則」とは、同盟国の国民の特許出願、特許権は他の国における特許出願、特許権と独立しており、他の国の動向に左右されることなく国ごと独立 して成立、消滅することをいう。従って、日本で特許を取得できたからといって、アメリカで特許が取得できるとは限らないことになる。