産業財産権Q&A
Q51
洋菓子店内に喫茶コーナーを併設して、洋菓子店で販売しているケーキと一緒にコーヒー、紅茶等の飲み物を提供しようと思っていますが、「菓子」について商標権を取得すれば足りるのでしょうか。
A
喫茶店の業務は「飲食物の提供」であり、「菓子」とは指定する商品、役務が異なる。従って、洋菓子店内に喫茶コーナーを設ける場合には、「飲食物の提供」も指定して商標登録を受けた方が良いと思われる。
商標登録出願は、商標法で定められた第1類から第45類までの商品及び役務の区分に従って商品、役務を指定して行う必要がある。第1類から第34類までが商品、第35類から第45類までが役務の区分である。「菓子」は第30類に属し、「飲食物の提供」は第43類に属している。
商品は「菓子」の他、例えば、「化粧品」(第3類)、「文房具」(第16類)などと区分され、役務は「飲食物の提供」の他、「広告」(第35類)、「自動車による輸送」(第39類)などと区分されている。
役務については解り難いところもあるので、説明しておく。例えば、「自動車による輸送」は顧客から預かった荷物を自動車によって静岡市から浜松市へ運んであげるという役務(サービス)を販売しているのであり、この役務に使用する商標が役務商標(サービスマーク)ということになる。クロネコヤマトの黒猫の図形がこの役務商標に該当する。
質問に戻って喫茶店の業務である「飲食物の提供」は役務であり第43類に属しているので、第30類の商品「菓子」についてのみ商標権を取得するだけでは足りないと思われる。